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                            2012/6/8 73号  
目次:
●レポート:アースポリシー研究所から

Eco-Economic Indicator

世界的に原発の見直しが進む(その2の2)
by J.Matthew Roney

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 世界の原子力発電所の発電容量の増加ペースは福島の原子力事故のかなり以前から、
すでに停滞期を迎えていた。年間の増加率は1970〜1986年にかけては19%、チェルノ
ブイリ事故後から1990年までは4%、それ以降は0.7%にすぎない。

 ドイツや日本が脱原子力や縮小へ方向を転換するなか、原子力建設に積極的な国もある。
たとえば建設中の原子力が26基(合計2660万kW)という中国、11基のロシア、7基のインド
などである。ロシアは、2020年までに、原子力の発電容量の倍増を目指している。また、
インドも2032年までに14倍の6300万kWに引き上げることを目指している。

 IAEAのリストによれば建設中のものは62基とされているが、発電開始予定が明確に示されて
いるものは15基にすぎない(この15基のなかに中国のものは1基もない)。また、リストの
なかの何基かは、すでに20年以上を経ている。典型的なものはテネシー州に建設中のWatts 
Bar2であるが、これの着工は1972年である。2012年4月には、稼働開始予定は「2012年8月」
から、「2015年中」に延期された。建設コストは68%増と推定されている。

 アメリカは原子力発電所の世界発電容量の約4分の1を占め、また同国の総発電量の19%を
占めている。同国でもっとも新しいものは1996年稼働開始のWatts Bar1である。原子力
規制委員会(NRC)は既存の2か所(ジャージア州およびサウスカロライナ州)の原子力
発電所に110万kW級の合わせて4基の新設を承認したが、これは1978年以来のことである。
この2つの州は原子力発電所のコストを契約者の電力料金に算入することが許されている
(着工前からの算入も可能)。こうした有利な条件があるにもかかわらず、承認された4基
は他の新設の例にもれず、「着工の遅れ」と「建設コストの増大」という状況を迎えるもの
とみられる。こうした「遅れ」と「コスト」の最近の事例は、プログレス・エネルギー社
(本社:ノースカロライナ州)が2012年5月に発表したもので、フロリダでの電力供給が
2024年へ3年ズレ込み、コストは170億であったものが、240億ドルに増大したとみられている。

 こうした原子力発電の現状は、世界的な設置拡大によって「規模の経済」のメリットで
コストが低下している風力発電や太陽光発電と実に対照的である。原発大国のフランスでの
最新の事例でも、コストは当初見込みの3倍、工期は2倍であった。メルトダウンというような
事故によるコストを想定すれば、原発のコストは他の電源のコストとの比較にはならない。
アメリカでは、原子力発電事業者が拠出した120億ドルの事故対策基金がある。しかし、
米エネルギー省が管轄するサンディア国立研究所によれば、想定される最悪の事故では、
被害総額は7000億ドル以上に達する。つまり、純民間ベースでは原発は「無理」なのである。
事実、原発の新規建設の大半は政府権力が強大であるか、原子力行政が強力な国で進められ
ている。

 長期的にみれば既存のものは平均27年も稼働しているので、これらのものが迎える永久閉鎖
を新設のもので置き換えていくことは不可能ともいえよう。180基近くは稼働30年以上で
老朽化している。すでに永久閉鎖された140基の平均稼働年数は23年であった。アメリカも
含めて40年を超えて運転延長が認められてきたものもあるが、4基の平均稼働年数が37年で
あった福島の事故発生後は、当然のごとくに延長されることはないであろう。

 原発のピークは、「日本の原発再開の規模」、「世界各国における旧型原発の運転延長の
承認」、「既存原発の発電容量の強化」などの要因に影響されよう。しかし、そうしたピーク
論を別にしても、世界的不況のなかで、巨額な資金を要する新規建設が、今後、大規模に展開
されることはないであろう。また、建設中のものも「遅れ」と「コスト増」という状況にある。
こうしたことから、世界の原子力発電が縮小の方向にあると判断することは妥当であろう。
これに替える電源を化石燃料に求めれば、気候変動をいっそう進めるばかりである。選択
すべきは「安全な」風力・太陽・地熱である。中国、アメリカ、インド、ロシア、日本などに
期待が寄せられる「電源転換」である。

次回配信予定:6月15日(金)

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