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★★★ 【WWJ地球環境メールマガジンEpsilon 】
http://www.worldwatch-japan.org
2013/10/7 79号
目次:
●レポート:米国における原子力発電の衰退(その2の1)
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Eco-Economic Indicator
米国における原子力発電の衰退(その2の1)
by J.Matthew Roney
米国の原子力発電所による発電量は、1970年代から急速に増大していたが、
2000年代初頭には鈍化しはじめ、 2007年〜2010年には横バイになり、
ここ2年間で4%以上の減少に転じた。2013年には、さらに1%減少するものと
見られている。早期に閉鎖した原子炉や閉鎖が予定された原子炉を抱えて、米国の
原子力発電が終焉を迎える日は遠くないといえよう。
表 米国における原子力による発電量(1960−2013) (単位:10億kW/h)
1960 1965 1970 1975 1980年
1 4 22 173 251
1985 1990 1995 2000 2005年
384 577 673 754 782
2007 2008 2009 2010 2011年
806 806 799 807 790
2012 2013年
769 764
原子力産業のトラブルは 1979年3月に起きたスリーマイル島原発事故の前に
すでに始まっていた。1957年に国内初の商業原子炉が完成し、「計量するには
安過ぎる」という将来見通しは極めて魅力的で、1960年代の半ばまでに狂乱的
というに相応しい原子炉建設ラッシュを巻き起こした。しかし、工期の遅延という
現実にくわえて、体質的というべきコスト超過に直面した発注企業体は、「全開」
から直ちに「見直し」「手びかえ」に転じた。年間の新規発注件数は1973年の
40基強をピークに、続く数年の間に激減し、この30年でみれば1978年の2基
が最後となった。
「1978年までに発注された原子炉253基のうち、121基は着工前あるいは
建設中に中止に至った」と、「憂慮する科学者同盟」のD.ロッホバウム(David Lochbaum)
は指摘している。そのうちの半数近くは1978年までに中止となり、完成された
原子炉――最後のものは1996年に稼働開始―‐は、平均3倍の予算超過となっていた
のである。
1990年代の終り迄に、28基の原子炉が40年という許可年限を迎えることなく
永久閉鎖とされた。これは、「コストの膨張」、「電力需要の低迷」、「規制の変化」等を
はじめとする諸要因がもたらした結果である。 しかしながら、こうした閉鎖にもかかわ
らず、米国は依然として104基の原子炉を残し、総量1億kWの発電容量を擁し、他国を
凌駕している。
新たな税額控除と融資保証を約束する「2005年エネルギー政策法
(2005 Energy Policy Act)」という刺激策、さらには天然ガスの高価格も追い風となって
原発関連産業界は「原子力ルネッサンス」というビジョンを持つに至った。2009年までに、
電力企業は新しく30以上の原子炉を計画していたが、その計画の大多数が棚上げされ
てきた。莫大な交付金が用意されたとしても、民間金融は新規の原発建設はあまりに
リスクが大きく、融資不適格案件と判断していたのであった。その間に、米国のシェール
ガス採掘ブームが天然ガス価格を急落させ、さらには「原子力ルネッサンス」に水をさす
ことになったのである。
2012年に 米国原子力規制委員会(NRC)は4基の原子炉の建設を承認した。
ジョージア州のボーグル(Vogtle)発電所とサウスカロライナ州のサマー(Summer)
発電所の各2基ずつである。これらは全て商業発電としては未検査の同じデザインの
原子炉で、従来の原子力発電所よりも短い工期で建設できるという触れ込みであった。
両州の計画とも、経済的なリスクを消費者に負わせるという全く新しい州法によって
支えられていた。この「先行コスト回収法(Advanced Cost Recovery Law)はフロリダ州
とノース・カロライナ州でも通過し、電力企業は、自社の新規原発に対し、建設中か、
建設前かを問わず、――つまり、原子炉が完成するかどうかにかかわらず、そのコスト
を消費者の電気料金に上乗せしてよい、というものであった。
両原発サイトの建設は、2013年3月に始まり、140億ドルのボーグル発電所で
最初のコンクリートが打込まれた時点で、すでに予定より19か月も遅れていて、追加
予算は10億ドルに及んでいたという。サマー発電所は総工費を100億ドルに収める
ことを目標としていたが、やはり早々に問題に直面した。6月に親会社のスキャナ社
(Scana Coorp.)は、すでに進捗が当初計画よりも1年遅れていること、および追加
費用が2億ドルに達していることを認めたのであった。この遅延によって、これら4基の
完成の目途は最も早くて2017年の末頃になる。
米国において現在建設中の原子炉は、テネシー州のワッツ・バー2号機(Watts Bar 2)
のみである。ここは、1972年に着工してから20年にもわたる待機を経て、ようやく
2012年完成という目途が立った。しかしその年になって、オーナーのテネシー川流域
開発公社(TVA)は、工期を2015年まで再延長し、追加費用が45億ドル、当初予算
の80%増になると公表した。
(訳:和田俊郎)
次回配信予定 2013年10月8日(その2の2)
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