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                            2013/11/8 82号 
目次:
●レポート:いっそう逼迫するであろう世界の食糧需給(その2の2)

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Eco-Economic Indicator
いっそう逼迫するであろう世界の食糧需給(その2の2)
    by Lester R. Brown

*前回(2013年11月6日)は筆者が整理した10項目のうち、1.から5.を配信しました。
今回はその続きを配信いたします。

6. 世界の耕地のほぼ3分の1は表土を失いつつあり、新しい表土の形成が追いつかず、
土地本来の肥沃さが失われつつあります。
 将来の食糧生産は、表土の消失によっても脅かされています。地球の陸地の表面を
覆っている表土は、薄い層であって、新たな土壌形成が自然要因による消失を上回る
ことの積み重ねによって、地質学的な長き年数を経て作られてきたものです。前世紀
のある時期に状況は逆転し、土壌消失が土壌形成を上回るようになりました。現在、
世界の耕地のほぼ3分の1は新たな土壌形成より速く表土を失いつつあり、つまりは土地
本来の肥沃さを失いつつあるわけです。地質学的時間スケールの中で形成された土壌が、
人間的時間スケールの中で失われていくということは、土壌量のピークがすでに過去の
ことになったにほかなりません。

7. 今日の農民は、人為的気候変動を目の当たりにする最初の世代です。
農業が今日のような姿であるのは、地球の歴史では稀である1万1000年にもわたる気候の
安定によって発展したからであって、その安定した気候システムの中での最大の生産量
を実現してきたにほかなりません。しかし、今や気候変動が進行していることは疑いも
ない事実です。年を追うごとに、農業システムは変動する気候システムからますます乖離
して、対応が困難になりつつあります。 

8. 農業は誕生してから初めて、確定的な、それも圧倒的な脅威を迎えることになります。
その脅威とは、アジア地域における山岳氷河の融解です。
 アンデス山脈でも、ロッキー山脈でも、アルプス山脈でも、その他の地域でも、山岳
氷河が解けつつあります。しかし、どこよりも世界の食糧供給に脅威となっているのは、
ヒマラヤとチベット高原の氷河の融解です。理由は、これがインドと中国の主要河川の
水源だからです。氷の融解が、乾期においても、これらの河川の流水量を維持してきま
した。 インダス川、ガンジス川、黄河、揚子江の流域では、灌漑農業がこれらの河川に
強く依存していて、氷河の水でかろうじて維持されてきた流水量を失ってしまえば、
収穫は減少し、それはもはや対応できない食糧不足につながってゆくでしょう。

9. 穀物収量の増加が数十年続いたあと、近年、農業先進国の農業は光合成の生物学的
限界に達したようです。
 日本農業は長い間、単位面積当たりの収量改善において世界的リーダーといえる存在
でしたが、1880年代に始まるコメの増収は、本質的には1996年に終焉を迎えました。日本
の農業従事者は最大限の生産性を有してきたのですが、光合成の生物学的限界に達し、
それまで以上のコメの増収は実現できませんでした。中国をみれば、コメの収量は今や
日本を4%下回るのみですが、ここでも光合成の限界に達しつつあるようです。コメ、
トウモロコシと並ぶ世界の三大穀物の一つである小麦の収量についても、より先進的な
農業国では伸び悩んでいます。例えば、ヨーロッパの主要生産国であるフランス、ドイツ、
イギリスでも数十年にわたって収量を増やしてきましたが、ほぼ10年前に3か国とも
頭打ちになりました。アメリカは世界のトウモロコシ生産量の40%近くを占めてきましたが、
これも横ばいになり始めました。アルゼンチンやフランス、イタリアなど、他のトウモロコシ
生産国にあっても、その収量は停滞しているものとみられます。

10. 私たちは、いま困難かつ危機的な状況に置かれています。
 今日、世界は、フード・セキュリティ(食糧確保)問題に取り組むリーダーシップを必要
としています。私たちが直面している食糧増産という極めて困難な挑戦と、水不足に
くわえて温室効果ガスの増加による気候変動という極めて大きな脅威が人類を待ち受けて
いることを、世界の誰もが認識する必要があります。世界の大方の政治家は温暖化防止の
国際会議において、「2050年までに二酸化炭素排出量を80%削減する」と言明はしていますが、
「私たちの価値観や実際の経済活動や消費行動が、今の軌道に留まる」のであれば、その
目標年のずっと手前で「もはや、お手上げ」になるでしょう。気候を安定させるためには、
速やかに二酸化炭素の排出を削減する必要があります。オバマ大統領は食糧需給が逼迫して
いることの重大さと緊急性を理解し、温室効果ガスの排出量削減という課題を放置した場合
の結果について理解する必要があります。2030年、あるいは2050年とかいった先のことでは
ありません。いま、私たちの眼前において、世界の食糧供給が根底から崩壊しようとして
いるのであって、恐れるべき事象は「偶発的な凶作」ではないのです。

          前回及び今回の訳:和田俊郎

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